こんにちは。青島です。

気になったニュースを。 



かに道楽での事件です。

かにのゆで方をめぐって口論の末、

中国人留学生のバイト(24)が、

調理師の男性(27)の腹を刺したと報道されています。

ヤフーニュースでも、かにのゆで方を巡ってという部分に焦点をあてた見出しとなっていました。

たしかに、

かにのゆで方をめぐって殺人未遂事件が発生!!

となれば、なんじゃそれは、面白そうだ、と興味をひきやすい。

私も思わずクリックしてみてしまいました。

しかし、

興味をひくために、面白そうな一部分をきりとってニュースにする、

興味を引くために、面白そうな一部分をきりとってニュースの見出しにする、

という手法は、

出来事の全体像の一部分しか報じず、

全体像を無視したラベリングをしているという可能性がありますので、

ニュースを受け取る我々としては、注意しなければなりません。

カニのゆで方で怒って刺したんだって、なんじゃそりゃーという軽い理解をしたところで、

我々はその出来事について何を知ることができたのでしょうか。

何も分かっていないに等しいのではないでしょうか。

例えば、もしこの事件に次のような背景があったとすればどうでしょう。

・この留学生アルバイトは、調理師の男性から、いつもいつも些細なミスを激しく叱責されていた

・その叱責ぶりは度を超えていて、他の従業員が止めに入るほどであった

・この留学生は、反論もせず、「ハイ、スミマセン」「キヲツケマス」と繰り返すのが常であった

・事件当日は、この調理師男性が、いつも以上に厳しい言葉を投げかけて、いつも以上に長く叱責していたところ、突然、バイト留学生が近くにあった包丁を手にとって、凶行に及んだ。

以上は、あくまで例えばの話で、実際のところはわかりません。

ただ、もし、このような背景事情があったとすれば、

従業員同士のトラブルで傷害沙汰が発生というニュースで淡々と報じるべきですし、

かにのゆで方について焦点をあてる必要などまるでないわけです。

このような背景事情は、捜査機関による取調べを経て、明らかとされていくことになるため、

捜査の初期段階においては全容は解明されていません。

逮捕直後の警察発表のみで、とりあえずニュースにしてしまおうとすると、

このニュースのようになってしまうものと思います。

もちろん、この事件が刑事裁判になれば、

背景にあるトラブルの原因、人間関係に関する事情についても、

法廷に現れて、裁判官にも、傍聴人にも知られるところとなります。

しかし、裁判に傍聴にいかない大半の視聴者にとっては、

裁判に関する追加の報道がない限り、

そのような背景事情等のトラブルの実態について知る機会はありません。

結局、大半の視聴者にとっては、

なんだったんだあの事件は、という印象のみを残したニュースということになります。

このニュースも、それほど報道価値が高いとも思えないため(語弊はありますが)、

仮に事後に刑事裁判になったとしても、

追加報道などされない可能性が高いのではないでしょうか。

そもそも示談が成立してまえば、刑事裁判になることもないかもしれません。

我々は、このまま、この事件の真相を知ることなく、一生をおえていくことでしょう。

結局、ニュースというものは、断片を伝えるものにすぎません。

断片をつなぎあわせて何かを解明するためには、

全容が分かったぞといえるためには、

ニュースの受取る側の我々においても、

別の努力(独自に調べ物をしたり、取材をしたり、勉強したり、分析したり、統合したり)

をすることが絶対に必要で、

それをしないのであれば、

どれほどの情報のシャワーを浴びても、

実は、何も知らないのと一緒なのです。

こわいですね。